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コロナ危機のアジアフロンティア経済への影響:債務返済猶予の危険性

09/06/2020

当社のエマージング債券ストラテジストのGregory Smithがアジアフロンティア経済の債務返済猶予についてレポートをリリースしていますので、ご参照ください。

スリランカ、パキスタン、モンゴルは新型コロナウィルスの感染拡大で経済が大きく影響を受けています。スリランカ、パキスタン、モンゴルは国際金融市場にアクセスし、ユーロ建て債券を発行する資金調達の方法を確立したものの、格付けはインドネシアなどの投資適格級を下回り、危機以降、新規の発行が出来ずにいるほか、多国籍機関からの借り入れもあることから、G20による債務返済猶予を受けることが可能となっています。

4月15日のG20の電話会議で最貧国を対象に一時的な債務救済措置を提供することが合意されましたが、対象国や対象債権者、デフォルトとして扱われるのか、執行方法などいくつかの疑問を抱きます。声明で、G20は全ての二国間の公的な債権者はこの支援に参加すると表明しました。これには、パリクラブに加盟していない中国も含まれます。一方で、多国間や民間債権者の返済猶予については明言されませんでした。債務の返済猶予の要請は各国が独自に判断しますが、多くは要請するかを公式に明らかにしていませんが、パキスタン、スリランカは要望することを表明しています。

パキスタン

パキスタン政府は財政出動や金融緩和などの策を講じているものの、GDP成長率は1.5%の低下が見込まれ、これは1950年代以来初のマイナス成長となります。
パキスタンはコロナ危機以前の国際通貨基金の支援で債務状況を改善させていたことにより、13.9億ドルに及ぶ国際通貨基金からの緊急融資を受けた他、原油価格の下落が国際収支がプラスに寄与しているものの、国際収支は大幅に低下する見込みです。
パキスタンが来年にかけて返済しなけれいばいけない債権者はパリクラブ非加盟国の中国、サウジ・アラビア、UAEの二国間が50%以上であり、その他20%が多国間、25%が民間の債権者です。急を要する返済は二国間の債権者にあたることや、民間債権者に債務免除を求めないことを明らかにしているものの、ムーディーズはB3の格付け見通しをネガティブに引き下げています。

スリランカ

スリランカも感染拡大を受け、観光業や海外からの送金、輸出の落ち込みで経済が低迷しています。
スリランカ経済の政府不安などによる脆弱性や財政赤字は感染拡大前から露呈しており、スリランカの公的債務残高は2019年のGDP比で90%にも上ります。
パキスタンは国際通貨基金から緊急の融資を受けることが出来ましたが、スリランカはこのプログラムの対象となりませんでした。国際通貨基金はスリランカ政府に歳入を増やし、公的債務を減らす要請をしていましたが、スリランカ政府は2020年初めに選挙を見据え、減税を実施したことで この支援を受けることが困難となりました。
スリランカは2020年にユーロ建て債券を発行する予定でしたが、スプレッドはディストレストの水準にあるほか、2020年10月に償還する10億ドルのユーロ建て債券の返済は予定通りに行われる見通しとなっているものの、それ以降の返済への懸念が高まっています。
5月19日にスリランカ中央銀行は債務の返済を明言したほか、二国間や多国籍機関からの資金援助やインド等との通貨スワップ協定、シンジケート・ローンによる資金調達を模索していることを明らかにしています。しかし、この翌日、S&Pはスリランカの格付けをB-に格下げています。S&P、スリランカ大統領は共に債務返済猶予の要望についての言及はありませんでした。

モンゴル

5月20日時点の新型コロナウィルスによるモンゴルの感染者数は140人に抑制されているものの、金や銅の輸出に依存する経済は大きく影響を受けています。
スリランカと同様、多くの国が国際通貨基金の緊急融資を受けることには厳しい条件があります。2019年に国際通貨基金の融資が終了し、国際通貨基金の更なる支援を受けるには債務健全化へ向けた改革が必要とされるモンゴルも、2020年中盤の選挙以降までこれらの改革が先送りされていますが、モンゴルに対しては改革が後ずれした場合でも、直ちに緊急支援の用意があることが明らかにしています。
モンゴルは、公的債務を2016年のGDP比88%から2019年にはGDP比73%に削減することに成功しましたが、危機により、債務返済の持続性の向上は再び不安に陥っています。パキスタンと同様、ユーロ建て債券の発行による資金調達が現在は困難なものの、マーケットセンチメントの改善で再び、債券の発行による資金調達は可能になると考えています。

債務の返済猶予は妥当か?

新型コロナウィルスの感染拡大による経済危機はモンゴル、スリランカ、パキスタンの債務リスクを上昇に転じましたが、これまでのところ破滅的ではないと考えています。現時点で民間の債権者に債務の免除をアプローチすることは間違いであると考えます。信用格付けが更に引き下げられるリスクが高まるほか、長年に渡って苦労して得られた国際金融市場に再びアクセスできなくなる可能性があることから慎重に判断する必要があります。 2021年から2024年の期間、リファイナンスや更なる開発のため、金融市場からの資金調達が必要になります。返済猶予を債務の再編で済ますことで2020年に信用リスクを引き下げることことを回避することが大切だと考えます。ムーディーズがパキスタンの見通しを引き下げていることなどから、引き続き警戒は必要ではあるものの、パキスタンが民間の債権者にも同等の免除を要望するかは明らかになっていません。モンゴルやパキスタンのユーロ建て債券のスプレッドは、マーケットがデフォルトを織り込んでいないことが見て取れるものの、スリランカのユーロ建て債券のスプレッドはデフォルト懸念の高まりを示唆しています。
金融市場にアクセスがなく、債務の免除を受けることで金融市場へのアクセスを失わらない最貧国にとって、債務の免除は理にかなっていると思います。一方、金融市場でのプレゼンスを確立した国にとっては、難しい判断に迫られます。債務の返済猶予の一律的なアプローチを取らないのは有効だと考えますが、債務危機が発生することで経済状態を更に悪化させる可能性が高まる懸念があります。

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